医療コラム
「血圧ってなんだろう?」BY久保先生
『血圧』
といわれて、この言葉を知らない方はまずいないと思います。お子さんたちだと知らない場合もありますが、血圧が高いといわれたことがあったり、逆に低いといわれたことがあったり、そういう方に出会ったことがあったり、だれもが聞いたことのある単語だと思います。じゃあこの血圧というのは何者か?
血圧とは心臓が全身へ血液を送り出すときに動脈にかかる圧力のことを指します。この時、心臓から一気に送り出されているときの血圧を収縮期血圧と呼び、一般的に「最高血圧」「上の血圧」などと呼ばれます。逆に一気に血圧を送り終わった後、一種の溜めのような瞬間があるのですがその際の血圧を拡張期血圧と呼び、一般的に「最低血圧」「下の血圧」などと呼びます。
血圧は常に変動しているため、運動したり緊張しているときには上がりますし、体が脱水症になったりした場合は血圧は下がったりします。一過性に血圧が上昇した場合、頭痛などをきたすこともありますが、上の血圧が上昇しすぎていきなり血管が切れるということも、健常な方であればまず起こりません。(絶対というわけではありませんが、若い方であれば300くらいまで血管は切れません。)
それではなぜ血圧が高いことが問題になるのか?それは、
「血圧が高い状態が続くことによって、血管にダメージを与え動脈硬化をきたす」
からです。この動脈硬化はいわゆる血管の老化ともいえるもので、動脈硬化が進むと心筋梗塞や脳卒中といった血管の病気の原因になってしまいます。つまり、血圧が高いことが続くことが問題なのです。
※高血圧治療ガイドライン2019より
どれくらいの数字なら血圧が高いのか?といわれると、実はその測定条件によって変わってきます。ご自宅で測ったときに135/85以上であれば高血圧と判断されると思って下さい。先ほど申し上げたように、すぐに問題になることはできませんが、血圧が高いことを放置しておくと、後になって・確実にご自身の体を蝕んでいきます。
血圧が高い・高めといわれた方でも「何の症状もないし、俺元気だよ?」と思われる方も多いかもしれませんが、まさにこれこそが血圧の厄介なところです。知らないうちに血圧がますます上がっていき、知らないうちに血管・臓器をボロボロまでにしていく…それが血圧の恐ろしいところなのです。
なお、上の血圧の方が重要ですが、かといって下の血圧が高いことを放置してよいわけではありませんのでご注意ください。
【対処方法は?】
血圧が高くなった場合、血圧を抑える最も効果的な方法は、「食生活の見直し」と報告されています。そして「運動」。この2つだけでもかなり血圧はコントロールできるといわれています。
具体的には塩分を制限することと、定期的に体を動かすこと、運動と食事を見直して痩せること。この3つが主軸です。当たり前のことを言っているように聞こえるかもしれませんが、塩分制限と運動習慣を身に着けることは減量にもつながるため、高血圧の有無にかかわらずしていてよいものです。
塩分については、わが国では具体的に6gの塩分制限だとか言われますが、ベトナムにいらっしゃる場合、正確な塩分量をその都度測ったり憶測したりすることはかなり難しいと思います。ですのでご自身で使用している塩・醤油・ナンプラーなどの量を可能な範囲で減らしていくことが大事だと思います。
そして運動です。暑さに気を付けて、汗を流して運動することは非常に重要です。それに筋トレを加えられればなおよいですが、少し日常の歩く距離を増やすだけでも運動になります。なかなかハノイにお住まいだと歩くことも少ないうえに歩きにくいというのはありますが、できる範囲で体を動かすようにしてみてください。
それでも日々の血圧が135/85を超えるような状況であれば、今は大丈夫でも、10年後・20年後にご家族やご友人に迷惑をかけないように治療を始めるべきだとおもってください。ご心配な場合は遠慮なく当院までご相談ください。詳しいことは我々医師に相談していただければと思います。
ちなみに、若い方に特に多いですが、血圧が低いといわれたことのある方。基本的には血圧が低くても日常生活を通常通り遅れているのであれば特に問題ありません。もし立ちくらみの症状がひどかったり、朝が起きれない、悩んでいるという方がいらっしゃいましたらそういう場合でもすぐに当院までご相談ください。もしかしたらホルモンなどのご病気かもしれません。お気軽にご相談くださいね。
written by Dr Kubo2022.7.14