医療コラム
風邪、結膜炎、膀胱炎の原因ウィルスBY黒川先生
ハノイも最近はだんだん寒くなってきましたね。日本ではいつもならインフルエンザが流行り始める季節です。ベトナムは暑いため一年を通してインフルエンザの患者はあまり数が変わらず、クリニックでも週に数人から十数人の患者が出ております。そのほかに新型コロナウィルス感染症と普通の風邪が最近のハノイの流行りと思います。
最近の流行りのインフル、コロナの二大巨頭の間に躍り出てきた普通の風邪ですが、正確には風邪症候群と言ってライノウィルス、旧型コロナウィルス、RSウィルス、パラインフルエンザウィルス、アデノウィルスなどのウィルスや様々な細菌などが原因となる疾患群です。その中で今回はアデノウィルスについて書いていきたいと思います。
アデノウィルスは主に子供かかりやすいウィルスです。感染しやすい場所は呼吸器、結膜、膀胱、胃腸などです。高熱、結膜炎、のどやリンパ節の腫れが主な症状の咽頭結膜炎は夏場プールなどで感染しやすくプール熱と呼ばれ、日本では夏に流行ります。また目の充血、目脂などの症状が2〜3週間続く流行性結膜炎もよく小児で見られる疾患です。アデノウィルスは感染力が強いためこの咽頭結膜炎が主要症状が消失した後2日経過するまで出席停止、流行性結膜炎は医師により伝染の恐れがないと認められるまで出席停止とされています。
ほかにアデノウィルスはせき、発熱、喉の痛みなどを起こす風邪症候群の原因や、排尿時の痛みや血尿を伴う膀胱炎、下痢腹痛などを起こす胃腸炎の原因にもなります。これらの疾患は学校法で出席停止にはなりませんが感染力が低いわけではありません。
そんなアデノウィルスですが直接ウィルス自体を攻撃する薬はないため対処療法になります。安静と水分、栄養を十分とって感染している間や直後は人との接触を極力避けましょう。医療機関によってはアデノウィルスの迅速検査をやっているところもあり15分程度で終わります。
どの感染症でもそうですがアデノウィルスも対処療法しかないので予防が大事です。極力マスクをつけ飛沫などを吸い込まないようにすると共に喉を乾燥から守りましょう。汚い手で目を擦ると病気の原因になります。手洗いなどもまめにしましょう。極力、一般的な感染対策をして安全で楽しい毎日を送れるようにしましょう。
Written by Dr Kurokawa 2022.11.15